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今際の際まで笑わせて

久間健裕のブログ

M-1グランプリ2016 感想

年に一度、漫才の頂点を決める大会、M-1グランプリ

 

2016年度大会は、近年稀に見るハイレベルな決勝だったように思う。

M-1は1年で何が変わったのか。ここに振り返ってみたい。

 

◎決勝進出者 (出番順)

アキナ、カミナリ相席スタート銀シャリスリムクラブ、ハライチ、スーパーマラドーナさらば青春の光、和牛(敗者復活組)

 

◇ファイナルラウンド進出

スーパーマラドーナ、和牛、銀シャリ

☆最終結

優勝…銀シャリ(3票)

2位…スーパーマラドーナ(1票)、和牛(1票)

さらば青春の光、ハライチ、アキナ、スリムクラブカミナリ相席スタート

 

 

冒頭でも触れたが、今年のM-1は近年稀に見るハイレベルな決勝だった。 

まず、会場を包む空気感から今年は違かった。

司会の今田さんが心配して会場を和ませようとする程、会場に漂う緊張感は確かに軽くピリついていた。

 

ただ僕は、これこそがM-1の醍醐味だ!と言いたい。

初期のM−1は、いちテレビ番組とは思えない張り詰めた緊張感の中で、芸人達が4分の漫才を披露し競い合うという、ガチ感漂う真剣勝負こそが見所だった。

だからこそ、2007年あたりから会場に蔓延し始めた「バラエティ感」というか、和やかな雰囲気に僕はどうも納得がいかなくて、その頃からM-1への熱は冷め始めてしまっていた。

あの緊張感は、M-1をただのゴールデンのネタ番組ではなく、日本一の漫才師を決める大会だということを物語る要素のひとつであると思っている。だからこそ、今回の大会は期待ができると思った。

 

緊張感の復活。その要因のひとつは、やはり審査員の一新だろう。特に松本さんやオール巨人さんが戻ってきたってことが大きかった。あれで一度緩みかけていた空気が引き締まった。

ただ、今回の審査員にも少し不満がある。

上沼さんはなぜ今回の審査員に抜擢されたのだろう。

おそらく男女コンビである相席スタートがいるからだと思うのだけど、あの人は本当に自分の好みだけで審査をする(しているように思える)から、正直向いていないと思う。だったら歴代審査員である渡辺正行さん、島田洋七さん、ノンスタの石田さん、パンブーの佐藤さんの方が明らかに公正な審査をしてくれてたはず。

意図的に偏りをつくりたいのなら、審査員の絶対数を増やすべきだし、5人という少人数制にするなら、全員が公正かつ厳粛なジャッチを下すことの出来る人達で揃えて欲しい。

 

・個人的 ファーストラウンド 順位

1. 銀シャリ 94点

2. 和牛 93点

3. スーパーマラドーナ 91点

4. カミナリ 90点

5. さらば青春の光 88点

6. アキナ 86点

7. ハライチ 86点

8. 相席スタート 85点

9. スリムクラブ 81点

 

1位〜3位は変わらず。

銀シャリは1stではぶっちぎりでウケてたし、3組目まで客席で溜まってた笑いを一気に爆発させた感じがした。ネタのチョイスも彼ららしい。

 

和牛は本当に上手かったし、ネタも細部まで笑いのギミックを詰め込んでて、それこそNON STYLEパンクブーブーに近い、全く隙のない漫才を繰り広げていた。間違いなく優勝候補だなと。なぜストレートで決勝に残っていないのか、不思議。

 

スーパーマラドーナは毎度見事な構成の漫才を見せてくれる。松本さんの言う通り、若干取りこぼした感はあったけど、実力で競り勝った感じ。

 

正直、ウケで言えばスーパーマラドーナよりもカミナリの方がウケてたと思う。

カミナリはセンターマイク越しの立ち姿から、2002年の笑い飯、2010年のスリムクラブのような得体の知れないヤバさを感じたし、漫才スタイルも新鮮で、何よりしっかり面白かった。もし審査員が去年のままであれば、決勝に進んでた可能性もあったと思う。来年も是非このステージで見たい。

 

さらば青春の光は実に彼ららしいネタで、改めて達者なコンビだなと思った。ただM-1決勝でするネタではなかったような気がする。このタイプの漫才は2015年のジャルジャルのような汎用性の高いフォーマットじゃないとなかなか厳しい部分がある。チョイスに難あり。

 

アキナはTHE MANZAIの時にも思ったけど、良くも悪くもマイペースにミドルテンポな漫才運びをするから、面白いけど突き抜けない感じがあって、とても惜しいなぁと。

 

ハライチは去年の大惨敗があったから、てっきり得意のノリボケ漫才でくるかなと思っていたけど、オーソドックスなスタイルで挑んできたところには好感が持てた。が、オーソドックス過ぎて爆発力に欠けたのは残念。

 

相席スタートはボケの山崎さんが最近フューチャーされがちだけど、実はツッコミの山添さんの合いの手や間の取り方が絶妙だと思う。ネタもらしいとは思ったのだけど、さらばと同じくチョイスが微妙だった気がした。

 

スリムクラブは焦りがあったのか、いつもよりテンポが早いし、真栄田さん終始笑っちゃってるし、酷かったと思う。上沼さんが公開説教をしていたが、あそこだけには賛同した。

 

・ファイナルラウンド 感想

今年の見所はファイナルラウンドだった。だいたい例年、1本目でいいネタを出してしまって、ほとんどの組が一本目のネタを越えないという状況が起こるのだが、今年は2本目のネタの方が面白くて、本当に甲乙つけがたい、接戦だった。

 三組のネタを見て、僕は和牛だと思った。相変わらずの緻密なネタ運び。一つひとつのボケとツッコミの精度。かなり完璧に近い漫才だった。ひとつ難を言えば、ネタの構成が1本目のネタとあまり変わらなかったところが引っかかったのか。

スーパーマラドーナは間違いなく2本目のネタの方が面白かったし、なにより、ここに来て客席を味方につけるという荒技を繰り出し、会場が一体となってうねるような笑いを生み出していた。十分優勝もあり得たと思う。

そして、実際に優勝した銀シャリだが、僕は1本目のネタの方が面白かったしウケもよかったように思えた。ただ決勝で逆に気負わず、しっかり堅実にやり抜いたという意味では、王者に相応しい漫才ではあった。ツカミが爆発的にウケたのもあったのかしら?

 

というわけで、今年はなかなか見ごたえのあるM-1でありました。

優勝した銀シャリ、おめでとうございます。いつか単独ライブで頂いたサイン、価値が上がってくれると嬉しいので、是非売れてください。

そして大会自体もどうかこのまま、いつまでもゴールデン番組らしからぬ緊張感の漂う舞台であって欲しいと切に願うばかりです。